ソルジャー・ブルーという人のどこが好きかと問われれば、ジョミー・マーキス・シンは眉頭を寄せて首を傾げて答えるしかない。
だってあの人のいいところなんてさ……うん、あるけど。
あえて言うなら、そうあえて言うなら、だ。何度か自分を納得させるように呟いてからジョミーは言葉を続ける。
「好きだ」って言うと、凄くはにかんで「ありがとう」って言う。その顔が好き、かな。
うつむいて、照れ隠しに指先で頬を掻く。爪が伸びていたのか、僅かに爪の痕が頬に残ってしまった。
まあ齢300超じゃ、はにかむなんて言葉似合いもしないけど……。
言いながら、どう言うべきか頭を抱える。ええと、なんていうか。なんていうかさ。
……そう! あの人はものすっごく年上なんだ。なのに、なのにさ。ばかなんだよ!
そんなのは大声で言うことでもないと言ってから気付いて、ジョミーは小さく溜め息と深呼吸をする。
えーと、いつもは余裕ぶってるクセに妙なところで弱いっていうか。
ちょっとイタズラしてやりたくなる感じだ。
イタズラしたところで結果的にはジョミー自身が仕返しをされて終わるけれど、それは胸に秘めておく。
そんなところであの人は年の功を武器にするんだとジョミーは少々いじけてもいるのだ。
どうしたってこの年の差、経験の差は埋められはしない。
そして結論を求められたジョミーはまた頭を抱える。
結論、けつろんって……。
もごもごと口を動かす。
ブルーが、ちょっとばかな300歳だからだよ。
やっと結論を口にしたジョミーにブルーから思念波が飛んでくる。
ばかとはなんだい、ばかとは。
それは苦笑混じりの、それでも嬉しそうな思念波だった。
だって本当のことだろ! ジョミーは思念波に一人で怒鳴った。