「寂しい」と、ジョミーは言わない。
それはブルーにとって、それこそ寂しいことだった。だが悲しいことにありがたいことでもある。
仮に「寂しい」と言われたところで、ブルーにはどうしようもない。
「ジョミー」
ブルーは胸にぴたりと密着したジョミーの身体を抱きしめた。それに反応してか、ジョミーもブルーの身体を抱きしめる。
体温を共有し、どちらが熱くどちらが冷たいのかはもうわからなかった。うっとり瞳を閉じれば、その感覚はいっそう増した。
身体があってよかった……。ジョミーの肩に頬を寄せ、形を確かめるように擦り付けた。
この身体がなければと、どれだけ願ったことだろう。実験に次ぐ実験でボロボロだった精神と肉体に嫌気が差し、身体を捨てていければと何度も思った。けれど、さすがにミュウといえどそれはできずに、ただ苦痛ばかりがブルーのすべてを犯した。
「ジョミー……」
温もりが気持ちすら熱くする。苦痛を乗り越え疲労し氷山となった心が、ジョミーに触れるたび、ジョミーを想うたびに少しずつ溶けていく感じがした。
考えなければならないことは未だに多量にブルーへと押し寄せた。だがそれすら「またあとで」と、思えるほど、ジョミーはブルーへ穏やかな時間をくれる。
どれだけ君のことが愛しいか、君は知っているのかな。
そんな気持ちを込めてジョミーの名をもう一度呼ぶと、ブルーの耳たぶをジョミーは唇で柔らかく食んだ。内側の熱く湿った感触が耳たぶを撫で、熱い息が耳腔をくすぐる。
「大好きだよ、ブルー」
からかうような声色の甘い囁きに身体中の毛が逆立つ。
ジョミーはこうして時折、まっすぐな言葉をブルーへくれた。それが嬉しくて堪らない。幸せでたまらなかった
わずかに身体が離れて、ジョミーが照れたように笑う。
だがそのとてつもなく愛しい笑顔より、ジョミーの身体を抱きしめたいという欲求がブルーを掻きたてた。
「ジョミー……!」
強引に口付ければ、ジョミーの唇の端に触れることになった。だが構わずに淵から舌を潜り込ませる。
突然どうしたんだよ、と思念波が伝わってくるがジョミーは優しくブルーの舌を受け入れ、自らのものと絡めてきた。
「もっと、ジョミーが欲しいんだ」
思念でそう送り返せば、ジョミーの喉が笑いに震えた。その振動が舌からも伝わり、ブルーの身体のをも振るわせた。
「……欲しいなら、あげるよ。大好きだから」
その返答にブルーは強くジョミーの身体を抱きしめた。